遠距離介護に疲れてしまう原因
心配だから、必要だからと始めた遠距離介護も、長期化すると介護者の身体的、精神的疲労を招きます。遠距離介護が疲れてしまいやすいのは、主に以下のような原因があるためです。
頑張りすぎてしまう
近場に住んでいれば、頻繁に親の様子を見に行くことができますが、遠方に住んでいて2日おきや3日おきに帰省するのは難しいでしょう。多くの場合、仕事をもっていたり、家庭をもっていたり、自宅から頻繁に離れられない事情があるためです。
だからこそ、遠距離だと余計に心配や不安を感じてしまいます。その結果、週末など時間を見つけてはこまめに帰省しようとして頑張りすぎてしまうのです。
しかし、いくら介護のために時間を見つけて帰省しても、周囲に頑張りや大変さがなかなか理解してもらえません。日頃から介護をしているわけではないため、楽な介護だと思われてしまいやすいためです。
自分なりに頑張っていても、周りや、親にさえ理解されない状況が、次第に介護者の心を疲れさせてしまう可能性があります。
時間と費用がかかる
目安として片道2時間以上を要するものを遠距離介護といいます。往復だと4時間以上になり、移動にかかる時間と費用の負担は大きいと感じる方もいます。
遠距離介護にもかかわらず週1回など頻繁に帰省する場合は特に、費用をどのようにしてねん出するか、家庭をもっている場合は家族の理解を得られるかなども問題になってくるでしょう。
日常的に介護ができない分、親戚や近所などに見守りをお願いしている場合は、お礼の品を用意するなど、交通費以外の負担も発生します。遠距離介護が長引くと、介護者の体力面、経済的な面でも問題が出てくるため、結果として介護疲れにつながってしまうのです。
遠距離介護をスムーズに行うための10個のポイント
1.親とのコミュニケーションを密にとる
1つは、親としっかり連絡をとって、親の状況を把握することです。親が普段どのような生活を送っているのか、経済状況はどうか、人付き合いはどうか、確認しておきましょう。
遠距離であまり帰省することがなかった場合、はじめのうちは深く踏み入るのが難しい部分もあるかもしれません。しかし、コミュニケーションを重ねることによって、財産の状況など聞きにくい話にも徐々に踏み込めるようになります。
連絡の手段は帰省時に直接取る以外にも、電話やテレビ電話などさまざまな方法がありますので、ご自身に負担がかかりすぎない方法で連絡を取られるのが良いでしょう。
2.周囲とのコミュニケーションにも注意
遠距離介護の場合、何かあったときすぐに駆けつけたくても、移動時間の問題で難しい部分があります。遠距離介護の味方を付けておくためにも、近場に住む親戚、親と付き合いのある方、あるいはかかりつけ医師など、可能な限り会ったり、話をしたりして、情報交換ができるようにしておきましょう。
介護のサポートになる、ケアマネジャーともできる限りコミュニケーションをとっておくことが大切です。
3.協力を仰ぐ
遠距離介護では、どうしても限界があります。何もかもひとりで抱え込まず、頼れる部分は誰かに協力を仰いだ方が良いでしょう。緊急で対応が必要になったとき、すぐに駆けつけてくれる人を探しておき、協力をお願いしておくと安心です。
4.サービスや制度を利用する
国や自治体の制度のほか、勤務先が介護との両立を支援するような制度を導入している場合があります。勤務先でそうした制度があるか、ある場合はどのような条件があるか確認し、利用を検討しましょう。
5.介護費用は親の貯金で
遠距離介護は、交通費や付随する費用がかかりますし、帰省頻度が高いとさらに負担は重くなります。介護者の負担をこれ以上大きくしない意味でも、介護費用は親の貯金や年金内でやりくりできるようにするのが良いでしょう。
6.仕事との両立を考える
介護を優先して、職を離れる選択肢もあります。しかし、遠距離介護の場合は、仕事を優先して、なんとか両立できる方法を考える方が良いでしょう。金銭的な問題もありますし、仕事を辞めたところで、家族の同意がなければ遠距離介護を続けることになり、日常的に介護をするわけではないためです。
病院の付き添いなど、どうしても一時的に介護や支援が必要な状態になった場合は、職場から長期休暇をもらったり、期間を決めて休職をとったりするのも解決策の1つです。
7.割引制度で交通費を節約する
往復割引や早割のほかにも、航空会社などでは、介護のために帰省する人などを対象にした介護割引が実施されていることがあります。帰省にかかる移動費を少しでも抑えるために、こうした割引制度の活用がおすすめです。
8.帰省はなるべく平日
帰省をするならできるだけ平日を選ぶのがおすすめです。病院や行政などは土日祝だと開いていないことが多いため、帰省しても必要な手続きや相談などが思うように進みません。また、移動時の混雑を避け、遠距離介護疲れを軽減する意味でも平日の方が良いでしょう。
9.遠距離介護は「介護マネジメント」だと理解する
遠距離介護での介護を近場での介護のように考えてしまうと、頻繁に通わなくてはならないと考え頑張りすぎてしまうことがあります。介護者が遠距離介護での疲れを増幅させないためにも、遠距離介護は介護マネジメントだと考えた方が良いでしょう。
自身が介護に徹するよりは、どういった介護サービスや制度を利用できるのかを考えたり、ケアマネジャーなどの専門家との調整や話し合いに時間を充てたりした方が効率は良く現実的な介護ができるはずです。
10.自身の息抜きも考える
介護は長期に渡ることもありますので、遠距離介護で頑張りすぎてしまうと介護者が疲弊してしまいます。長く介護を続けていくためにも、介護ばかりに集中するのではなく、介護者ご自身の息抜きも必要です。
遠距離介護の疲労を軽減させるための秘訣
うまく生活できているか、健康に問題はないか、遠く離れているからこそ不安に感じる部分もあります。その結果、帰省が多くなり介護者の負担増になっては、介護者の思う状態で介護を続けることは難しくなるでしょう。
介護者の不安を軽減できるようなサービスとの併用も考え、介護疲れを減らせる方向で、長期的に親を支援できるようなしくみを作っておくことが大切です。
見守りサービスの利用
介護者の不安を軽減できるサービスの1つが、見守りサービスです。自治体や企業でさまざまなものがあり、訪問して安否確認するサービス、電気・ガスの使用状況で安否確認するサービス、配食などほかのサービスと組み合わせたものなどがあります。
見守りサービスの利用で、親に変わったことがないか確認できるので、不安軽減につなげることができるでしょう。
介護サービスの利用
日常生活が困難になってくると、遠距離介護では十分といえない部分も出てきます。介護サービスの利用も検討されるのが良いでしょう。
介護サービスには、訪問型サービス、通所型サービス、宿泊型サービスなど、さまざまな種類があります。より良い介護実現のためにも、1つのサービスにこだわらず、さまざまなサービスを組み合わせて利用されると良いです。
場合によっては、老人ホームへの入所も視野に入れておきましょう。有料老人ホームも「ロングライフ」なら、介護はもちろん、入居者様が自分らしい生活を送れるようなサポートが充実しています。ご家族様の来訪(面会)も可能です。
医療機関との連携、ケアスタッフの24時間の常駐によって医療ケア体制も整えておりますので、健康面での安心も得られるのではないでしょうか。
まとめ
移動にかかる費用や帰省頻度などの問題から、遠距離介護に疲れを感じることもあります。介護には明確な終わりがありません。長く付き合うつもりで、介護者に無理のない範囲で、できることに専念されるのが良いでしょう。
※こちらの記事は2020年3月22日時点の情報をもとにした記事です。
№2003-08