在宅介護のストレスの原因とは?
2016年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、要介護者などを介護する介護者の構成は、配偶者、子、子の配偶者だけで半数以上を占めることが分かりました。つまり、家族の介護をその家族が担うことがいまだ多いということです。
また、在宅介護者のうち、日々の悩みやストレスがあると答えた人は68.9%。自宅で介護をする人の7割近くが何かしらのストレスを抱えていることが分かります。
なぜ、介護者の多くが悩みやストレスを抱える事態になっているのでしょうか。介護者の多くが感じるストレスは何か、在宅介護によくみられるストレスの主な原因をみていきましょう。
ひとりで悩みを抱え込みがち
家族や介護スタッフなど、多くの人の協力があるのが介護の理想ですが、周りからの協力がうまく得られないこともあります。特に家族や親戚など周囲にいる人が非協力的で、協力関係が構築できないと、介護は孤立しがちです。
なかには、介護者が良かれと思って行ったことが介護を受ける人にうまく伝わらず、衝突すること、それにより自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。しかし、家族内のことだからと、周りへの相談をためらうケースも多くみられます。
こうした日々の悩みが積もり、孤立することによって誰にも相談できないような状態が続くと、抱えている悩みや不安がストレスとなって介護者の精神的な負担を増大させてしまうのです。
ほかにも、介護スタッフに気を遣いすぎたり、相性が合わなかったりして、介護サービスやスタッフに不満があっても言い出せず、結局ストレスが溜まることもあります。
自分の時間がない
介護者が介護に要する時間は、介護を受ける人の介護度が高いほど長くなる傾向にあります。2016年の厚生労働省の国民生活基礎調査では、要介護度3以上になると「ほとんど終日」と回答した介護者の割合がもっとも高くなりました。
要介護3でほとんど終日と回答した割合は32.6%、半日程度と回答した人は16.4%。要介護5になるとほとんど終日が54.6%、半日程度が10.8%で、合計すると65%ほどに上りました。
こうして、1日のうち介護にかける時間が長くなると、介護者個人の時間は奪われてしまいます。仕事を辞めて介護に専念しなければならない場合もあるでしょう。
介護に必要な時間が長くなると、外出する時間や趣味に充てる時間も無くなってしまいますから、気分転換ができず、ストレスをため込む結果になってしまいます。
疲労・睡眠不足
介護の疲労や睡眠不足からくるストレスもあります。ベッドへ移動させたり、入浴や着替えを手伝ったり、介護者は日々肉体的に負荷のかかる介助を行っているためです。いずれも毎日の生活にとって必要なことであるため、介護者は体を休める暇がありません。
就寝中もトイレ介助、おむつ交換などで起こされることがあり、睡眠不足が日々蓄積されて、さらなる疲労とストレスにつながります。
お金の問題
介護制度は、介護の負担を金銭的に軽減するのに役立ちますが、すべての介護費用に対応しているわけではありません。日々の介護で必要な紙おむつや介護食は基本的に自己負担になります。この場合、介護者が自身の財布からねん出することもあるでしょう。
介護者に十分な収入がある場合であれば大きな問題にはならないかもしれませんが、介護度の高い家族を看る場合では仕事を辞めざるをえないこともあります。介護者の収入が絶たれることによって表面化するのは、被介護者の年金や貯蓄に頼る生活への不安です。
2016年の厚生労働省の国民生活基礎調査では、介護者のうち、収入・家計・借金などに悩みやストレスを抱える人は約2割にも達することが分かりました。
介護生活のストレスの解決法をご紹介
在宅介護では、さまざまなことがストレスの原因になることが分かりました。それでは、こうしたストレスを少しでも軽減するために何ができるでしょう。ここでは、介護者のストレスを軽減する解決法を3つ提示します。
自分の生活を介護だけにしない
介護に限界を感じる原因の1つに、ひとりで不安や悩みを抱えてしまうことを挙げました。もちろん介護は大切なことですが、生活のほとんどを介護が占めてしまうと、身体的にも精神的にも余裕がなくなっていき、孤立が進んでしまいます。
生活が介護一辺倒にならないためにも、意識的に自分の時間や外部との時間を作ることです。同じような悩みを持つ介護仲間を作れば、情報の共有だけでなく、悩みを話す機会も作れます。
デイサービスやショートステイを利用して、意図的に介護から解放される時間を作り、その時間を趣味や旅行などの自分の時間に充てるのも良いでしょう。介護生活から少し離れられる時間を意識的に作ればストレスも軽減されるはずです。
専門家に相談しよう
身近な人への相談が難しいのであれば、介護の専門家へ相談するのも解決策の1つとなるでしょう。ケアマネジャーにケアプランを見直してもらえば、介護方法のより良い選択肢が見つかるかもしれません。
被介護者が認知症を患っている場合は、症状についてよく理解しており、適切なアドバイスをもらえる可能性の高い認知症の専門医へ相談するのが得策です。
施設への入居も検討する
ストレス発散をしても介護者の疲労が限界に近いと、大きな効果は期待できません。いずれ介護者に降りかかる負担が限界に達し、共倒れになることもあるでしょう。被介護者への配慮だけでなく、介護者自身が介護を続けられる状態を維持することがなによりも大切です。
介護者の負担を減らすためには、施設への入居も検討対象にするべきかもしれません。在宅介護でできることは限られていますので、施設に入居した方が被介護者にとってもより良い生活の実現になることがあります。
介護施設の利用といっても、さまざまなタイプの介護施設がありますし、提供されているサービスはさまざまです。介護度合いによる受け入れ態勢も異なりますので、被介護者、介護者の両方が納得できるよう、早めに情報を集め、入居を検討されるのが良いでしょう。
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まとめ
在宅介護は、介護者にとっては自身の目の届く範囲で介護ができる、被介護者にとっては慣れた環境で見知った人に介護してもらえるメリットがあります。しかし、介護者に過度に負担が集中してしまうとストレスや疲労で共倒れを招きかねません。
周囲や専門家に相談するのも方法の1つですが、それでも解決できない場合は、施設への入居も解決の糸口となるでしょう。
※こちらの記事は2020年3月20日時点の情報をもとにした記事です。
№2003-06