介護と介助、どう違う?
介護と介助は、医療や介護の現場でよく耳にする言葉ですが、具体的な違いについては知らない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、介護と介助の違いや目的について見ていきましょう。
介護は「日常生活の自立を目指す行為」
介護は、単独で日常生活を送ることが困難な人に対し、生きていくために必要な生活全般を支援し、自立を目指す行為を指します。
身体介助だけでなく精神面の援助も行うため、生活の質向上を目的としており、日常生活を意味するADL(Activities of Daily Living)を支援するためのものです。
介護分野においてサポート事業が整備されるようになり、介護の目的そのものが体の世話をするということから変化しました。
要介護者が自立して快適に生活できるように、生活の質向上を目指す主旨へ転換したことで、体だけでなく精神面のサポートも重要視されるようになっています。
介助は「日常生活をサポートする行為」
介助は、介護を実現するための手段であり、日常生活をサポートする「行為そのもの」を指します。食事や入浴、排泄の手助けを行うなど「介助行為」を指す点で、介護とは意味が異なります。
介助にはサポートを行う場面の違いによってさまざまな種類があり、必要に応じて適切に行うことが求められます。
介助の主な種類とその方法
介助は、介助を受ける人が自分で行える動作の範囲や、危険への配慮も必要となる重要な作業です。ここでは、介助の種類やそれぞれの方法と注意点について紹介します。
移乗介助
移乗介助は、要介助者を乗り物から移す介助行為のことを指します。ベッドから車椅子へ、車椅子からベッドへ移る際、自力で乗り移ることが困難な場合の介助を行います。
ずり落ちによる皮膚剥離(ひふはくり:すりむき傷)や、落下の衝撃で打撲や骨折する可能性もあるため、細心の注意が必要です。
また、立ち上がる際にめまいを起こし、膝折れすることがあるため、急な転倒などにも気をつけなければなりません。
ベッドから車椅子へ移乗するときは高さを水平にし、車椅子のブレーキがかかっているかを必ず確認してから行いましょう。
食事介助
食事介助では、誤嚥リスクに備えることが重要です。高齢者は、誤嚥によって肺炎を引き起こしやすいだけでなく、最悪の場合窒息死に至る可能性もあり、重大事故になりかねません。
食事介助において誤嚥を防ぐためには、正しい姿勢を維持し、一口に必要以上の量を与えない配慮が必要です。
また、食中毒予防の観点からも、食事前に手洗いを念入りに行い、消毒まで済ませておくようにしましょう。
入浴介助
入浴介助は、要介助者にとっても体力が必要になるため、健康状態のチェックが欠かせません。体温管理だけでなく、血圧の急激な上昇や低下にも注意が必要です。
室温やお湯の温度を管理し、濡れて滑りやすくなっている体を支える際には、転倒にも注意しなければなりません。
また、浴槽での入浴が困難な場合は、清拭や洗髪などの介助を行うこともあります。
入浴介助についてさらに詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
介護で高齢者をお風呂に入れる際の手順とは
トイレ介助
1日に複数回移動をする必要がでてくるトイレ介助も、転倒などの事故に気をつけなければなりません。
トイレに移動する際の転倒だけでなく、トイレから立ち上がる際の膝折れなどにも注意しましょう。
また、トイレの介助はプライバシーに配慮し、1人でできるように環境を整える必要があります。
具体的には、トイレに着座したのち、扉を9割閉めてドアの外側から声掛けを行うなど、直接排泄しているところを必要以上に見ない工夫が大切になります。
更衣介助
更衣介助を行う際にも注意点があります。衣服を着脱するため、室温の調整を行うことや、タオルやブランケットで寒さを軽減し、目隠しを行うなどです。
また、更衣介助に時間がかかると、介助者と要介護者双方にとって負担となるため、着脱しやすい衣服を用意し、時間短縮を図りましょう。
ズボンの着脱はできなくても、上衣であれば自分で着替えられるという人もいるため、要介助者が自分でできる範囲のことは見守るという姿勢も大切です。
歩行介助
歩行介助では、ほかの介助同様、転倒に配慮して付き添う必要があります。少しの段差でも転倒リスクがあるため、相手の歩くペースを見守りながら、足元や周辺の状況に気を配ることが重要です。
普段から杖を使っている場合は、利き手で杖を握ってもらうために、利き手とは反対側に立って介助を行います。また、歩行介助では転倒のリスクを回避するために、道具のメンテナンスも重要です。
杖の滑り止めが摩耗している、歩行器のタイヤの回転が悪い、などの場合は器具のメンテナンスを行うようにしましょう。
歩行介助に関する詳しい情報は、以下のページでもご紹介しています。
介助するにあたって大変なところ
介助は、介助を行う人にとって負担となる部分が多くあります。ここでは、介助を行う人が悩むことの多い、介助の大変な点と軽減方法について紹介します。
身体に負担がかかる
身体に負担がかかることが、介助を大変だと感じることの1つとして挙げられます。とくに、移乗介助や排泄介助、更衣介助など、前かがみになる動作が多くあり、腰に負担がかかります。
プロの介護職員でさえ、腰を痛めてしまう人がいるほどの作業であり、疲労感が蓄積するのは、介護を行う人共通の悩みではないでしょうか。
介助を行うことが困難になる可能性もあるため、サポート器具の導入や介護サポートの活用などを積極的に行い、軽減を図る必要があります。
心配で常に付き添わないと不安
介助が行き過ぎてしまい、常に付き添わないと不安になってしまうことがあります。怪我をしてしまわないか、常に確認しておかなければ安心できず、自分の生活を後回しにしてしまうような状況です。
介助を行う人の生活に影響が出てしまうだけでなく、要介助者ができることを狭めてしまう可能性もあるため、必要に応じて見守ることも大切です。
自分だけで介助することが難しい状況になった場合、さまざまな介護サービスの活用や介護施設への入居を検討する必要があるでしょう。
ロングライフでは、介護付き有料老人ホームを多数運営しており、身の回りの生活を全面的にサポートできる体制が整っています。
入居者様お一人おひとりの必要度合いに合わせ、介助やサポートだけでなく、定期的な往診なども行っています。
緊急時の入院手配なども迅速に対応可能です。
入居を検討している場合や、見学をご希望の方は、ぜひお気軽にロングライフまでお問い合わせください。
まとめ
介護と介助の違いは、行為や目的の違いではありますが「人を手助けする」という視点では同じ要素を持ちます。
快適な生活を送るための介護や、怪我や事故を防ぐための適切な介助は、介護・介助を必要とする人にとって欠かせないものです。
ロングライフでは、要介護度に関わらず自立して生活できる方の受け入れも行っています。介護や介助が必要ない段階で、自分の目で見て入居判断できることもロングライフの魅力です。
介護が必要になる将来に備えて、高品質な介護サポートが受けられる、ロングライフへの入居を検討してみてはいかがでしょうか。
※こちらの記事は、2020年2月24日時点の情報をもとにした記事です。
No.2002-11