平均寿命と健康寿命の違い
まずは「平均寿命」と「健康寿命」の違いについてご説明します。
平均寿命とは
平均寿命とは、0歳時点で何歳まで生きられるかを統計から予測した「平均余命」のことです。わかりやすくいえば、特定の人が生きられるおおよその年齢となります。
この数字はいろんなところで取り上げられて目にすることも多いので、自身のおおよその寿命の目安にされていたり、老後資金の計画や人生設計を考える根拠としていたりする方も多いでしょう。
ただ、予測の時点での死亡率が続くと仮定して算出しているため、医療の進歩や生活環境の変化によって、平均寿命は変わる可能性があります。
健康寿命とは
では一方、健康寿命とはなんでしょうか。健康寿命とは、日常生活を制限されることなく健康的に生活を送ることのできる期間のことをいいます。「日常生活の制限」とは、介護や病気などを指し、自立して元気に過ごすことができない状態です。
とても長生きの方でも、長期間にわたり介護や入院が必要であれば、健康寿命は短いということになります。
つまり、平均寿命と健康寿命にあまり差がないと、亡くなる直前まで健康に過ごしていたということになり、平均寿命に比べて健康寿命が短くなると、不健康な状態が長いということがわかります。
平均寿命と健康寿命の差は拡がってきている
長生きするだけではなく、健康で過ごせる期間である健康寿命を延ばすことが大切だとおわかりいただけたと思いますが、近年気になる現象が起きています。
平均寿命と健康寿命の差とは
厚生労働省のデータによると、近年、平均寿命と健康寿命の差が拡がってきています。
2001年の男性の平均寿命が78.07歳に対して、健康寿命は69.40歳で、その差は8.67年でした。つまり、統計的には、健康でない状態になってから8.67年後に亡くなるということです。
同じ年の女性の平均寿命は84.93歳に対して、健康寿命は72.65歳で、その差は12.28年でした。
それが2013年のデータでは、男性の平均寿命80.21歳に対して健康寿命が71.19歳で、差は9.02年。2001年の8.67年と比較すると差が大きくなっていますね。
2013年の女性のデータでは、平均寿命86.61歳に対して健康寿命が74.21歳で、差は12.40年となり、2001年の12.28年と比べて、やはり長くなっています。
データ上では、病気などによって介護や支援などが必要になってから亡くなるまでに、男性では約9年、女性では約12年もの時間があることになります。
このデータから、平均寿命に着目することより、健康寿命を延ばしていく必要性がよくわかりますね。
この差が拡がらないよう、健康維持に努めて介護や寝たきりといった生活をできるだけ少なくすることが大切です。
参考:厚生労働省「平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える」
支援や介護が必要になる原因
では、支援や介護が必要になる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。以下の表は、要支援者・要介護者別にみた介護が必要となった主な原因です。
第1位 | 第2位 | 第3位 | ||||
総数 | 認知症 | 18.0% | 脳血管疾患(脳卒中) | 16.6% | 高齢による衰弱 | 13.3% |
要支援者 | 関節疾患 | 17.2% | 高齢による衰弱 | 16.2% | 骨折・転倒 | 15.2% |
要介護者 | 認知症 | 24.8% | 脳血管疾患(脳卒中) | 18.4% | 高齢による衰弱 | 12.1% |
参考:厚生労働省「平成 28 年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ介護の状況」を加工
要支援者・要介護者合計での1位は「認知症」、2位「脳卒中」、3位「高齢による衰弱」という結果が出ています。これ以外の原因として、関節疾患、骨折・転倒などもあがっていますが、これらの骨や関節、筋肉などの運動器の障害をロコモティブシンドロームといいます。
ロコモティブシンドロームは加齢により誰にも起こりうる現象ですが、骨折や転倒につながり、それが原因で介護が必要な生活になる可能性が大きいことから、予防が非常に重要だといえるでしょう。
平均寿命と健康寿命との差を埋めるために自分ができること
平均寿命と健康寿命の差を埋めて、介護生活につながってしまう原因をできるだけ遠ざけるためには、どのようなことができるのでしょうか。
健康でアクティブに過ごす
ロコモティブシンドロームを避けるには、筋肉・関節・骨などの運動機能を維持することが大切です。
シニアの場合、飛躍的に筋力をアップさせることが目的ではなく、あくまでも運動機能を落とさないことが目的なので、「ハードなトレーニングをしなければ」、と気負う必要はありません。
散歩を兼ねたウォーキングや簡単なストレッチ、1階分だけ階段を使って歩く、など日常生活でできる範囲で無理せず行いましょう。
また、認知症予防のために、脳を積極的に使って活性化させたいものです。知らなかったことを学び直す、読書をするなどの知的活動や、絵を描いたり短歌や俳句を作ったりするなどの創作活動は脳にとっても、精神面にとっても大きなプラスの影響を与えます。
忘れてはならないことが、このような肉体的・精神的にアクティブな毎日を支えるのは、食事と睡眠ということです。食事では栄養面にも気を配り、バランスよく食べることを意識しましょう。また、年齢を重ねると睡眠時間が短くなったという方もいるため、ご自身の睡眠の質が満足いくものかどうか、今一度振り返ってみることも大切かもしれません。
健康で長生きするための情報は、以下のページでも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
⇒「健康で長生きしている人の秘訣と楽しく生活を送るためのコツ」
自分らしい豊かな生活を維持する
健康寿命を延ばし、生き生きと健康に過ごすためには、自分らしい生活スタイルを維持することが大切です。高齢者であるから、または体力が衰えてきたから、という理由で多くのことを制限してしまうのは、大変もったいないことだと思いませんか。
そのために必要なことは、自分の体と相談して無理をしすぎないことと、元気なうちから医療的ケアや介護ケアが必要になった場合のことを考えておくことではないでしょうか。
ロングライフでは、自立した健康な方でも入居いただくことができます。老人ホームときくと、「様々な制限があり自由に過ごせないのでは」というイメージをおもちの方もいますが、ロングライフでは、入居者様お一人おひとりが自分らしいアクティブな暮らしができる環境を整えています。
その取り組みの1つである「ヘルス&ナチュラルビューティ」プログラムでは、美や健康にまつわるさまざまなイベントを開催しており、入居者様から好評をいただいています。
スポーツ、ビューティ、フード、それぞれのプログラムが「健康のためだけのもの」ではなく、「楽しいから参加したい」と感じていただける工夫が満載です。
いくつになっても、好奇心を刺激してくれるものが身近にあり、ワクワクする感情をもち続けることはとても大切なことです。健康で自分らしい日々を送るために、ロングライフでの生活もぜひ一度ご検討ください。
もちろん医療体制も整っており、日々のケアや緊急時の医療機関との連携も万全です。また、介護が必要になった場合でもそのままご入居いただける点も大きなポイントです。
いったん介護が必要になってしまっても、「そのまま介護生活が続くのだろう」、と弱気にならないでください。回復して自立した生活を目指すという意識がとても重要で、そのためのサポートと環境をしっかりとご用意しています。
まとめ
平均寿命が長いのは良いことですが、同時に忘れてはならないことが健康寿命です。生きている限り、いくつになってもはつらつと楽しみをもって過ごしたいもの。
ご自身の健康寿命を延ばすために、適度な運動や打ち込める趣味や勉強など、できることからはじめてみてはいかがでしょうか。そして、将来に備えて生活スタイルを今のうちに考えておくことも大切です。
生き生きと楽しみながら過ごすために、ロングライフへのご入居もぜひご検討くださいね。
※こちらの記事は、2020年6月14日時点の情報をもとにした記事です。
№2006-04