胃ろうの種類
胃ろうは、チューブで直接胃に栄養剤を流し込むための穴のことをいいます。ここでは、胃ろうに使用するカテーテルの種類や特徴について紹介します。
体外部
胃ろうは、体外部と胃内部の固定板を組み合わせて使用します。体外部の形状は2種類あり、それぞれに長所と短所があります。
ボタン型
ボタン型は体外にチューブが突出していないため、日常の動作で邪魔にならず、目立たないというメリットがあります。
チューブの長さが短いため汚れにくく、手入れの負担が軽減できます。逆流防止弁がついていることも特徴です。
ボタンの着脱が片手では難しく、栄養剤を投与する際に、やや手間がかかる点がデメリットとして指摘されています。
チューブ型
チューブ型の特徴は、栄養剤の投与時にチューブとの接続を行いやすい点です。栄養剤の投与は1日に2~3回程度行われることが多く、接続の手間が軽減できるのは大きな利点です。
チューブが汚れやすいことや動作に邪魔になり、自己抜去(自分で抜いてしまう)のリスクなどのデメリットがあります。
胃内部
胃の内部に固定するカテーテルは「バンパー型」と「バルーン型」の2種類あります。
バンパー型
バンパー型には、安定して固定できることや交換までの期間が長いというメリットがあります。
約半年に1度程度の交換頻度になりますが、交換時に痛みや圧迫感を生じる点がデメリットとして指摘されています。
バルーン型
バルーン内部の蒸留水を注入して膨らませ、固定するものです。蒸留水を抜いてバルーンを収縮させることで、抜去や挿入が容易な点が特徴です。
バルーンが破裂してしまう場合があるなど、バンパー型と比較して交換頻度が高く、1~2ヶ月に1回のペースで交換する必要があります。
組み合わせて使用するため「ボタン・バンパー型」「ボタン・バルーン型」「チューブ・バンパー型」「チューブ・バルーン型」の4種類の胃ろうがあります。
胃ろうのメリット・デメリット
ここでは、胃ろうにした場合の本人や介護者のメリット・デメリットについて紹介します。本人の意思を確認しながら、医師とも相談したうえで決定することが大切です。
メリット
胃ろうは、経鼻経管による栄養剤投与と比べて、痛みや息苦しさなどの負担が少ないメリットがあります。また、介護者にとっても食事介助にかかる時間や手間が少なくなるため、負担軽減になります。
経鼻経管の場合、管が鼻から喉を経由し、胃まで挿入されているため口から食事を摂る訓練が難しくなります。胃ろうであれば、口から食べる訓練も併行して行うことが可能です。
また、胃に直接栄養剤を投与する胃ろうは、嚥下(えんげ)障害による誤嚥(ごえん)性肺炎のリスク軽減にも役立ちます。胃ろうは経鼻経管と比べて違和感が少なく、カテーテルの自己抜去を防げる特徴もあります。
デメリット
胃ろうによる栄養補給で、口からの飲食を行わなくなると唾液の分泌量が減ります。唾液の分泌量低下は、口腔内の乾燥を招くため不潔になりやすいというデメリットがあります。
また栄養剤の投与には時間がかかるため、同じ姿勢を保ち続けていると褥瘡(床ずれ)ができてしまうリスクがあります。
まれに栄養剤の逆流が起こることもあり、逆流した栄養剤が気管に入ったことが原因で誤嚥性肺炎を引き起こす場合もあります。
胃ろう設置には手術がともなうため、体や精神面への負担がある点もデメリットとして挙げられます。
胃ろうの方を介護するときのポイント
胃ろうの方を介護する際に気をつけておくべきポイントがあります。ここでは「姿勢」「衛生面」「口腔ケア」について紹介しています。
体をしっかり起こして姿勢を正す
栄養剤を投与する際、姿勢が悪いと逆流させてしまう可能性があります。逆流を防ぐために栄養剤を投与するときは、上体の角度を30~45度以上に起こすことが大切です。
また、投与終了後も30分~1時間程度は起こしたままを保つことで、投与後の逆流を防ぐことができます。
衛生面に気を付ける
胃ろうのカテーテルを含め、使用する器具の衛生面に注意が必要です。投与する栄養剤は高カロリーで栄養素も豊富なため、清潔にしていないと雑菌が繁殖する恐れがあります。
感染症を予防するためにも、胃ろうに関わる器具は定期的に洗浄し、交換が必要なものは適切な期間内に新しいものと取り替えることが重要です。
また胃ろう本体だけでなく、胃ろうを装着している人の体を清潔に保つことも必要です。入浴を行う際には、体を石けんなどできれいに洗い、入浴後には十分に乾燥させることが雑菌の繁殖を防ぐポイントです。
口腔ケアを念入りにする
胃ろうによる栄養剤の投与を行っていると、唾液の分泌量が減少し、口腔内の菌を減らす自浄作用の機能が低下します。
不潔な状態が続くと、胃ろうによって防げるはずの誤嚥性肺炎や気管支炎が、唾液が原因となって引き起こされる可能性があります。
胃ろうによる栄養剤投与のみで、食事を経口摂取していない場合でも口腔ケアは丁寧に行う必要があります。
胃ろうの人でも入居できる介護施設は?
胃ろうの人は「施設に入居するのが難しいのではないか」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
受け入れ可能か否かは、施設によってさまざまあり、必ずしも全ての施設で受け入れ可能ではありません。
胃ろうの介助は医療行為とされていますが、医師が常駐していなくとも一部のサポートは、看護職員や研修を受けた介護スタッフも行うことができます。
提携の医療機関の支援を受けられる施設であれば、受け入れが可能な一方で、胃ろうに対応できるスタッフがいないと入居が難しいことも事実です。
ロングライフが運営している有料老人ホームでは、協力医療機関と緊密に連携がとれるよう、協力体制を整備しております。
外部の専門医や総合病院との連携を拡大し、よりきめ細やかな医療サービスが提供できる仕組みです。胃ろうの方で入居をご希望の際には、お気軽に日本ロングライフお客様相談室(0120-550-294)までご相談ください。
ロングライフの魅力は、医療サービスが充実していることだけではありません。水や光、緑溢れる敷地やクリーンスタッフ常駐による清潔の維持など、他の施設にはない快適な空間づくりを行っています。
介護施設や、有料老人ホームへの入居を希望している場合は、ロングライフの施設をぜひご活用ください。
まとめ
胃ろうの介護は、介護者にとって管理しなければならない器具や介護の工程が多く、負担となる場合もあります。胃ろうのケアに対応している有料老人ホームなら、専門知識を持つ介護職員や看護師の手で適切な処置を受けることができます。
また、胃ろうを装着している本人にとっても、安心して生活をおくることができる介護施設は選択肢の1つではないでしょうか。
24時間体制でケア・サポートを行っている、ロングライフの有料老人ホームをぜひ一度、ご検討ください。
※こちらの記事は、2020年1月24時点の情報をもとにした記事です。
No.2001-08