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フランスの伝統工芸、カルトナージュをご存知ですか? 厚紙に布を貼ってすてきなボックスを作る技法で、ナポレオンが妻のジョセフィーヌのために宝石を入れるボックスを美しく装飾したことが始まりともいわれています。
そんなカルトナージュを、もっと気軽に、もっとライフスタイルに取り入れやすくできないかと誕生したのが、今回ご紹介する「カフェミナージュ」です。身の回りのあらゆるものを自分好みにデコレーションできるとあって、60代、70代からでも気軽に始められる習い事として注目を集めているのだそう。ここ最近、より扱いやすく進化したという「カフェミナージュ」の世界を、少し覗いてみましょう。
カルトナージュから着想を得た「カフェミナージュ」
「カフェミナージュ」を考案したのは、株式会社CafeMi Mondeの代表で、神戸市にてカフェミナージュ認定サロン本部を主宰する岡本扶美さん。自宅サロンのオープンに至るまでにはどのような経緯があったのでしょう。
「実はハンドクラフトとはまったく無縁の人生だった」とおっしゃる岡本さん。けれど、結婚し子どもができ、子育てに邁進する中で、子育ての息抜きにと始めた“カルトナージュ”の世界にどっぷりハマってしまったそう。美しい布を選んだり、自分好みのボックスに仕上げたりと作品作りを楽しむ日々だったそうですが、伝統的に受け継がれてきた技法ということもあって緻密な作業が必要で、作り上げるのにすごく時間がかかっていました。
そこで、もっと気軽に作品作りができないかと、目についた赤ちゃん用のおしりふきシートのボックスを布でデコレーションしてみたところ、自分でもびっくりするほどキレイにできたそうです。プラスチックの味気ないボックスも、ひと手間でこんなにすてきになるんだ! とうれしくて、これまで気になっていたあらゆるものにデコレーションを施していったのです。
そこから、プラスチックボックスをはじめ、ティッシュケース、ハンガー、ゴミ箱、棚、メガネケースなど、ありとあらゆる物に布を貼ってアレンジする日々が始まったと岡本さん。周りの人からも次第に「私にもぜひ作って」「その技術を教えて」とお願いされるようになっていきました。
最初は「単なる趣味を人様に教えるなんて…」とためらっていましたが、別の趣味として続けていたポーセラーツ(磁器に美しい絵を転写してオリジナルの柄へと仕上げる技術)のインストラクター資格を取得されたこともあって、講師として本格始動。布を貼る技術を「カフェミナージュ」と名づけ、商標登録も果たされました。その結果多くの人が岡本さんの元へ学びに訪れるようになり、今ではなんと東北から九州・沖縄まで800名以上のカフェミナージュ認定講師を抱えるまでになったのです。
身の回りのものを自分らしく彩るよろこび
「カフェミナージュのテーマは“自分メイドのお気に入りと暮らそう”です。身の回りの既製品もお気に入りの生地を被せてデコレーションするだけで、とたんに愛用品に生まれ変わります」と岡本さんは話します。
粘着カーペットクリーナーや、お掃除道具を収納するカバーやボトル、ウェットティッシュボックスなど、かわいらしいデザインのものが少ない生活道具も、うんと自分らしく彩れるのです。
ひとつのものを長く大切に使い続けることで、家庭でもSDGsに貢献できます。愛用品を増やし、使い捨てのサイクルから抜け出すライフスタイルへと切り替えることこそ、今の時代に必要なことかもしれません。
こちらは、今の時世に欠かせない「除菌ボトル」をカフェミナージュでデコレーションした例です。玄関先など目に付くところに置かれていることが多い除菌ボトルをエレガントに彩れば、ご家族で使う際に気持ちが上がるのはもちろん、お客様をお迎えする際にもおもてなしの心がより一層伝わりそうです。
また、マスクケースをこのようにデコレーションしてみるのはいかがでしょう。かわいらしいリボンがアクセントになったデザインはカフェミナージュでも大人気です。毎朝マスクを取り出す際にも、ちょっとうれしくなりそうですね。
接着剤の香りが苦手な人にもできるよう進化
そんなカフェミナージュですが、実は岡本さん自身少し懸念していることがありました。出来上がったものはもちろんかわいらしいのですが、強力な接着剤を使って貼り合わせていくため、作業中に接着剤独特の匂いが気になったり、手がベタついたりしやすいという点でした。
これまでのやり方だと過敏な方には少しおすすめしにくかったのを、小さなお子様からご高齢の方までどなたでも作業しやすく、安全性も高く、かつ扱いやすいものにしたいと考え、“カフェミナテープ”と“カフェミナシート”を新たに開発されたのです。
従来のカフェミナージュは、飾りたい対象物に接着剤を塗布し、布と対象物とを接着させながら作るものでした。それを、粘着性のあるテープかシートを布に貼り、対象物に被せて貼り合わせていくスタイルに変化させたのです。
カフェミナージュにぴったりなものへ仕上げるべく、ずいぶん悩みながら作り上げられた自慢の道具です。気になっていた匂いが一切ないのはもちろん、接着剤が手についてベタベタするようなこともなく、また多少の伸縮性があるのでカーブ状のものにもぐっと貼りやすくなっています。
さらに、壁紙接着剤などによく含まれるVOCの放散量が少なく、体にもやさしい無溶剤型アクリル系粘着剤を用いていて、人にも環境にも配慮しています。日常的に使うものだからこそ、安心してそばに置いておけるのはうれしいかぎりですね。
サテン地やシャンブレー地など、どんな布でも貼り付けられる
デコレーションに使用する布やリボン、テープの種類を問わないのもうれしいポイントです。エレガントな雰囲気がお好みなら光沢のあるサテン地、カジュアルな雰囲気に仕上げたいときにはデニムやシャンブレー生地、ナチュラル感を演出するなら麻など、さまざまなテイストで楽しめます。
中でも人気があるのは、岡本さんも得意とするエレガントスタイル。カフェミナージュオリジナルの布として、天使の柄をモチーフにした「トワルド カフェミナ」5種類と、パールを配したようなデザインの「パール マトラッセ」2種類の、計7種類を揃えています。
柄自体がとてもすてきなので、貼り合わせるだけでもエレガントさがぐっと際立ちます。どんな素材を使えば華やかになるだろう…と悩んだ際には、まずオリジナルの布から始めてみても良さそうです。
切り貼りするだけでできる気軽さも魅力
美しい完成品のためには、丸みのある角をヨレなく仕上げたり、広い面をぴったりと隙間なく貼り合わせたりする必要があるため、もちろん技術力は必要です。けれど、最初は手こずりながらでも、学びの回数を重ねるごとに美しくなっていくので、60代、70代からの趣味として挑戦してみてはいかがでしょう。
切り貼りするだけのお手軽さもうれしいカフェミナージュ。生活道具をお気に入りの布で彩り、ひとつのものを長く愛用する、そんなライフスタイルを実践してみませんか。
なお、カフェミナージュのレッスンは全国各地の認定講師が随時開催しています。本部のWEBサイト「Contact」ページからレッスンを受けたい旨を記載し送信すれば、お近くの講師を紹介していただけます。
株式会社CafeMi Monde
カフェミナージュ認定サロン本部
https://www.cafemi.jp/